カワイーヌ・ティトの北欧生活

北欧で暮らすハバニーズ、ティトと飼い主Matte&Husseの日常

SÖTNOS TITO

Titos svenska liv med Matte och Husse

もう二度と食べられない

今日はちょっと指向を変えまして。今週のお題とやらに初挑戦してみたいと思います。

 

実家では父方の祖父母と同居していました。一応2世帯住宅でしたが家の中は繋がっており、共有部分もあったので、毎日のように祖父母とは顔を合わせていました。

 

今では2人とも亡くなってしまいましたが、私は祖父母が大好きでした。両親に叱られたら祖父母の陣地に身を隠し、小腹が減ったなと思えば祖母にお菓子をせびりに行き、うたた寝している祖父を横目に勝手にテレビのチャンネルを変えて好きな番組を思う存分見たり、夕食時にわざと遊びに行き、なんかそれ美味しそうだね、とわざとらしく訊ねてはじゃあ食べていいよという言葉を言わせてみたり。この孫...いい加減にした方がいいですね。

母は当然祖父母の前では鬼にならないので、それをいい事にしょっちゅう遊びに行っていました。その後、鬼は当然倍返ししてくるのですが、私は懲りずにそんな毎日を過ごしていました。そりゃ何度も叱られる訳です。今わかりました。みんな、ごめんなさい。

 

祖父母は孫にべったりするタイプではありませんでしたが、いつも静かに見守っていてくれたように思います。 

祖父は手先が器用で、色々と自分で作ってしまう人でした。大工仕事に溶接、縫い物、なんでもあれ。渓流釣りが趣味で、夏になると父や友人と一緒に鮎や岩魚を釣りに行っていましたが、いくつかの釣り道具も自分で作っていました。その中には特許を取ったものもあり、家で箱詰めを手伝ったのは良い思い出です。

 

実家には狭いながらもバルコニーがありました。

祖父はそこにかまどを造り、毎朝ご飯を炊いていました。薪を割る音で目覚めた事も多々ありますが、今思えば近隣住民はいい迷惑だった事でしょう。わりと騒々しい場所ではありましたが、東京の住宅街で朝から薪の音と煙のもくもく。祖父は古くからそこで暮らしていたので、誰も文句が言えなかったのかもしれません。申し訳ないような有り難いような...。

 

まぁそれは時効にして頂き。

日曜日になると、祖父はそのかまどでお芋を焼いてくれました。私も一緒になって火をくべた事は数しれず。

 
良いおやつです。焼き芋はもちろん好きでしたが、頻度が高かったので、私は”またおいもー?”とケチをつけることがありました。だったら食べなくていい、と母に真っ当な事を言われて取り上げられましたが、そうなると食べたくなるあまのじゃく。飽きたなーと言いつつチマチマつまんでいるうちに、結局美味しくて全部食べていた記憶があります。
 
スウェーデンに日本のさつまいもはないので、焼き芋は食べられません。日本にいたとしても、今は亡き祖父の焼き芋はもう食べられません。祖父よりももっと美味しく焼いたお芋はいくらでもあるでしょうが、それらは似て非なるもの。かまどの前で出来上がりを待っていたあの時間、におい、熱くても平気で芋を触り、私に渡してくれた祖父の手、今でも全てが鮮明に思い出されます。そしてちょっと今泣きそうです。祖父に会いたい...。
 
私は高校生の頃は反抗期で、外では良い子でしたが、両親には横柄な態度をとっていました。しかし祖父母には幼い頃と同じく、天真爛漫な優しい孫として接していました。ずっと元気でいて欲しいと願っていましたが、人の命はそうはいきません。
今から20年前、祖父は自宅で心筋梗塞で突然倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。
 
こたつに潜っている私に、納豆になっちゃうよーと注意してきた祖父。
私の腕を軽くつねり、ちくーーーわーーとどうでもいいギャグをかましてきた祖父。
さるぼぼや赤べこなど、釣りに行っては謎に赤いシリーズをお土産に買ってきてくれた祖父。
日曜日にはお芋を焼いてくれた祖父。
 
祖父に対しては後悔する事が沢山あります。もっと沢山昔話を聞きたかったし、モノ作りを教わりたかったです。母にとっての祖父は義理の父ですが、自分の父親のように慕っていました。母も後悔する事が沢山あったようです。祖父にしてあげられなかった分、祖母に尽くそうとヘルパーの資格をとり、祖父が旅立って数年後にアルツハイマーになった祖母の介護をしました。
 
もう二度と食べられないもの。もう二度と会えない人。人にはそれぞれ、私で言うところの”祖父の焼き芋”があると思います。その瞬間の幸せを満喫することは、後に思い出した時にも同じように幸せを感じられるために、大切な材料だと思います。今でも私は祖父の声や仕草を覚えています。お芋は食べられず、会う事も出来ませんが、祖父との時間を思い出すと一瞬であの頃に帰れるのは、この上なく大切な財産です。亡くなって間もなくはただ悲しいだけでしたが、人はこうして時間を味方にしていくのだと、勉強させてもらいました。
あの人の焼き芋、あの場所の焼き芋。会えるうちに、行けるうちに行動してみてはいかがでしょうか。
 
人生は諸行無常ナリね...。
意味もなくコロ助で締めたいと思います。

 

今週のお題「いも」