長寿への道
長寿の国といえば日本ですが、スウェーデンの平均寿命もなかなかのもの。世界第12位でおよそ82.5歳です。
長生きはするもんじゃないねとか、いつまでも元気で長生き!など、人によっていう事は様々。どちらが幸せなのかは誰にもわかりませんが、健康でも楽しくなければ長生きする意味が見出せず、病気や不自由の中なんとか生き延びるのもそれはそれでつらいかもしれません。実際自分が死の間際にならないとどう感じるのか不明ですが、少なくとも、99歳の私の祖母はなにがなんでも100歳まで生きるんだ!と強い気持ちをもって生きていました。
祖母は今年に入って一時危篤状態になりましたが、同じホームに住んでいる仲間とわいわいお喋りに興じるほど復活しました。ところが5月、体調が急変してぽっくり逝ってしまいました。100歳まであと5ヵ月。本人はきっと残念で仕方がなかったでしょうが、大往生です。
私が最期に祖母とあったのは、前回の帰国時。コロナ禍より一年前の2019年1月でした。当時、祖母が暮らすホームには、”長寿への道”なる日本手ぬぐいが飾られていました。
百の祝が済むまでは。99歳の誰しもが思うのでしょうか。
っていうか111歳!きっと祖母も体の健康が保たれていたら、111歳になってようやくそろそろ逝こうかね、とか言いそうで、くすっと笑ってしまいました。
長野県の山中に住んでいた祖母の元に、大人になっても私は毎年遊びに行っていました。
2人で温泉に行き、帰りは真っ暗な山道を歩いて帰宅。私がこわいこわいと呟いていると、祖母は都会の方がよっぽどこわいと言っていたな...。
畑に豆を植えろと言われ、植え方がわからないと伝えると、豆が植えられない奴はどこにも嫁にいけねぇぞと言われたっけ...。おばあちゃん、今だから言うけど豆云々じゃねぇぞ...。おれの問題だ...。
祖母と布団を並べて寝たあの日々。おばあちゃん夜中呼吸止ってたよね。大きないびきのあと30秒くらい無呼吸でさ。外で鳴いている蛙の声が妙に大きく聞こえたっけ...。毎回ドキドキしたぞ...。それでも99歳まで大きな病気もなく、生きられたね。
なんて思い出が次々に湧き出てきて、一人で笑ったり寂しくなったり、やっぱり悲しくなったり、色々な事を想いながらしばらく過ごしました。命あるもの終わりは必ずありますから、仕方がありません。たくさんの思い出が何よりも宝物です。
歳をとることを終えた祖母と、まだまだ歳を重ねていく私達。
7月にはHusseが誕生日を迎えました。自分で食べたいケーキを予約して、当日自ら受け取りに行っていました。
2人では到底食べきれず。でもタイミング良く来てくれた友人に振る舞ったり、Husse両親におすそ分けしてみんなで楽しむ事が出来ました。素敵なケーキ!
スウェーデンではマジパンで包まれているケーキをよく目にします。私はちょっと苦手なので、お行儀悪いと思いつついつも剥いでしまいます。このケーキもそうでしたが、マジパン以外は美味しかった〜!
プレゼントは何がいい?と訊ねてみましたが、特にないと返事が。じゃあ何も買わなくていいかと一瞬思ったのですが、たまたま友人がおいしいチョコレートを教えてくれたので、それをあげることに。
同じ味が2つずつ入っていたので、半分私にくれました。おめでとうありがとう!私ならあげないけど...って、ね?おばあちゃん。問題は豆じゃない。
祖母の歳まで生きるには、これから今までの倍以上生きなければなりません。まだまだ時間はあるぞ!なんてポジティブには思えません。改めて祖母の生きた時間、人生に感服。
長寿への道てぬぐいの最後にこう書かれています。
気をながく、心はまるく、腹たてず、
口つつしめば、命ながかれ。
耳が痛すぎるっ...!
祖母とは意外と早くあちらで会えそうです。
なーんて。
ぽっくり寺にお参りだー。