カワイーヌ・ティトの北欧生活

北欧で暮らすハバニーズ、ティトと飼い主Matte&Husseの日常

落ち込んだ私達

ティトの歯磨き

ティトのお世話の中で私が最も苦手なのが歯磨きです。仔犬の頃は専用の布を濡らして、それを指にはめて磨いていました。小さくて可愛い乳歯にはそれで十分でしたし、生え変わりの痒みでガシガシ噛まれても問題ありませんでした。

永久歯に生え揃った頃から、歯ブラシに切替えました。異物を口の中に入れられて、ティトは非常に嫌がりました。私の横に座らせて、ティトの頭を抱きかかえるような体勢で、優しくそっと少しずつ慣れるよう、お互い頑張りました。ところがいつまで経っても頭をブンブン振り回し、歯ブラシをガシガシ噛み、磨くどころではなく。

また仔犬の頃のように、指はめ型の布で磨いた方がいいのかも...。そう思って歯ブラシを封印。ところがどんどん歯は汚れていき、奥歯は黄色く明らかに歯石がこびり付いてしまいました。やはりきちんと歯磨き粉を使い、歯ブラシで磨く方がティトには良いようで、私も意を決してまた挑戦しました。

その頃になるとティトは、ブラッシングの時は横向きに大人しく寝転ぶようになりました。この延長でいけないだろうか...? 寝転んでいるティトに優しく覆いかぶさり、片手で口元を固定し、もう片方で歯磨き。おまけに歯磨き粉も変えてみました。

するとどうでしょう。以前の暴れっぷりがウソのように、大人しく磨かれるようになりました。こびり付いていた歯石も、買って来たスケーラーで恐る恐る試してみたら、ポロっと取れました。それも大人しく受け入れてくれたティト。また白い歯に戻り、私はとてもホッとしました。

しかし、歯の裏側は今でもどうしても磨けません。傷つけてしまいそうでスケーラーも怖くて使っていません。そこは濡らしたガーゼを指に巻いてなんとなくこすっていますが、黄色くなって歯石も若干ついています。以前別件で動物病院に行った時、ついでに相談してみたのですが、この状態でも大丈夫と言って下さったので、こんな感じで現在私はティトの歯を磨いています。

異変を発見

先週、そんなふうに歯を磨いていた時。左下の犬歯の隣り、奥側の小さな歯がぐらついている事に気付きました。あれ?犬の歯ってこんなにゆらゆらしてた?と不思議に思い、反対側をチェックしてみたらがっしり密着していました。これはまずいのでは...?

仕事から帰って来たHusseに、至急病院に電話してもらいました。

この街には2つ病院があります。診療所のような場所と、救急も扱っている少し大きめの場所。診療所はもう閉まってしまったので救急に電話すると、歯に関することは隣町の病院だと言われました。その番号を教えてもらい、電話をして予約をとりました。

診察結果

病院まで60キロ弱。Husseに半休をとってもらい、昨日車で行ってきました。

ティトはおもちゃをくわえてブンブン振り回したり、私達と引っ張り合うのが大好きです。先生曰く、引っ張り合っているときにたぶん痛めたのだろう、と。

 

つまり、私達の力が強すぎたということです。ティトの体が引きずられるくらい引っ張ることはしませんでしたが、それでもティトの力と小さな歯にとっては強かったのでしょう。私もHusseも落ち込みました。本当に申し訳ない...

私達を元気づける為か、先生はこうも言いました。犬歯だったら痛みや違和感がすごくあるけど、小さな歯だから本人はたいして気にしていない、と。せめてもの救いですが、そっか!じゃいっか!とはもちろんならず。

来週、もう一度来る事になりました。レントゲンで歯茎の中を確認した後、全身麻酔をして裏側の歯石をとり、たぶん抜く事になるだろう、との事です。人間と同様、犬にとっても大小関係なく歯は大切です。まだ3歳にもなっていないのに、1本抜く事になりそうとは...。全身麻酔という負担もかけさせてしまい、反省してもしきれません。

フードもぱくぱく食べ、元気に遊ぶティトの姿に、申し訳なさと救われるような気持ちと、様々な感情が入り乱れます。

来週もう一度来る事になりますが、それまではもちろんガムなど固いものは避けますが、それ以外は普段通りでいいとの事。診察を終えた私達は家路につきました。

病院という場所

ところで、私達は診察を待つ待合室で、ある家族と一緒になりました。お母さんと中学生くらいの女の子。女の子は黒いプードルを抱き、泣いていました。側に人が居るのは居心地が悪いと思い、私達は離れて座りました。

また別の機会に書こうと思いますが、スウェーデンでは犬を安楽死させる事は特別な事ではありません。状況は様々ですが、むしろ安楽死させないのは虐待だと言われます。

女の子を見ていて、もしかしたらそういう瞬間なのかと私は思い、今にも泣きそうになってしまいました。ティトにも最期の日は必ず訪れ、こういう瞬間を私達も迎えるかもしれない。わかってはいても、そんな事を考えると今の時点でも涙があふれます。私も一瞬で女の子に感情移入してしまいました。

しばらくすると獣医さんがその親子の側にやってきました。それまで女の子のすすり泣きしか聞いていなかった私は、ちょっと目を向けてみました。よく見ると抱かれている犬は右前足をギプスのようなもので固定されていました。

どうやら安楽死ではなく、骨折の手術後だったようです。それが良い事ではありませんし、私が勝手に勘違いしただけですが、これからも一緒に暮らしていけて良かった、と胸をなでおろしました。

直後、獣医さんはその日の治療費を親子に伝えていました。

お金ではありません。もしティトが同じ状況になったら、私達も惜しみなくお金を払うでしょう。ただし、相場ってそうなんだ、と青ざめたのと同時に心の準備が出来ました。

 

元気になって良かった!と喜んだり、

最期の瞬間に悲しんだり、

救おうと頑張ってくれる人達がいたり、

病院という場所には色々な感情が渦巻いています。

帰りの車の中、私とHusseの心の中にも様々な想いが巡っていました。なんか...疲れたね...とどちらからともなく、呟きました。犬は今を生きています。今回の歯の件を心に刻み、ティトが毎日健康で幸せだと感じてくれるよう、後悔しないように暮らしていこう、と改めて思った帰り道でした。

 

読んで下さりありがとうございます。