スウェーデン人の心のふるさとを編んでみた!
前回からの続きです。
学校をあとにした私達の目的地は、世界遺産にもなっているファールン鉱山。
現在は観光地になっており、レストランや博物館、更に坑道を歩くツアーも行なわれています。当然私達も参加しましたが、安全第一。ヘルメットを被ってマントを羽織り、てるてる坊主に変身します。
叔母と大はしゃぎで写真を撮り合ったっけな...。
ってことはどうでもよく。
スウェーデンでは赤い塗料で塗られた家々をよく目にしますが、その赤い顔料も実はファールンが発祥です。その名もFaluröd(ファールーレッド)/ファールンの赤。
採掘された鉱石を洗練する過程で生まれる酸化鉄を原材料としたのが、この赤色の顔料です。本来は黄色ですが、熱を加える事によって赤く変化するのだとか。見栄えのみならず、家屋を雨風から守り、耐久性をあげる役割も担っています。
この鉱山はおよそ1000年以上の歴史があり、その間には無計画な採掘で崩落事故が起きた事も。奇跡的に祝日でケガ人はいなかったそうですが、その後も国を支える産業として貢献してきました。
ガイドさんのお話は95%理解出来ませんでしたが、とても良い経験になりました。
さて、このファールーレッド。使われているのは家だけではありません。雑貨好きがスウェーデンに来たら大抵買うといわれているDalahäst(ダーラへスト)/ダーラナの馬にも塗られています。
こちらもダーラナの名産品。貧しかった時代、子どものためのおもちゃとして、木を彫って作られたのが起源だそうです。現在では青や白など様々な色で塗られたダーラヘストもありますが、本来はこのファールーレッドがトラディショナル。
介護に携わっている人々にとってのスウェーデンは、福祉の国というイメージかもしれません。建築関係の方ならスウェーデンハウスだったり、ジブリ好きなら魔女の宅急便でしょうか。
携わる分野や興味によって、人々が持つイメージというものは実に様々です。
北欧雑貨が好きな方は、真っ先にこのダーラへストを挙げるかもしれません。
先日私は毛糸を大量購入しましたが、その中にはファールーレッドという名前の色もありました。
これで何かを編むなら、モチーフはダーラへストがぴったりだと思い、早速デザインしてみました。しっくりくるまで何度もやりなおしましたが、ようやくできた作品がこちら。
北欧ミトンのような形のルームシューズです。つま先のとんがりは、着用すると思ったよりも足にフィットしてくれました。
ファールーレッドに白抜きのダーラヘスト。かかと部分にはスウェーデンの象徴である王冠と、HEJ(ヘイ)というスウェーデンの挨拶も配置。形は左右対称なので、お馬は向き合ってもそっぽをむいても、どちらでもOKです。
ミトンにしようかとも思ったのですが、色やデザイン的に他のアイテムに合わせづらいかと思い、ルームシューズにしました。細番手で編んでいるのでわりと軽い仕上がりですが、履くととっても温かく足がポカポカ。
ダーラナでは夏至祭も大々的に行なわれます。そういった古くからの風習や、ダーラヘストや鉱山などの伝統工芸、産業文化が現在も忠実に語り継がれている地域です。それ故、ダーラナはスウェーデン人の心のふるさとと言われているようです。
スウェーデンにあまり興味がない方でも、”心のふるさと”を少しでも感じて頂けたら嬉しいです。ルームシューズは本日よりCreemaで販売しておりますので、お時間のある方は是非覗いてみて下さい。
来月から水際対策が大幅に緩和されるようで、観光業の方は大喜びされているのではないでしょうか。ロシア上空が飛べないのはアレですが、今後海外旅行がまたお手軽になったら、スウェーデンはいかがでしょう?
ダーラナ地方、オススメです!
(北スウェーデンもね!)