カワイーヌ・ティトの北欧生活

北欧で暮らすハバニーズ、ティトと飼い主Matte&Husseの日常

我は戦士ぞ

断捨離やミニマリストという言葉が当たり前に使われるようになり、モノを持たずにすっきり暮らす人々が世の中には増えました。

例えば家の中に大きな家具や雑多なモノが少なければお掃除がとても楽ですし、部屋が広く使えてのびのびできます。私も部屋はなるべくスッキリさせたいので、家具を買うときはとても迷いますし、なるべくモノを増やさないよう心がけています。

しかし、大好きなものはいくらあっても邪魔になりません。自分の好きな物に目一杯囲まれてごちゃごちゃ暮らすのも、好きです。例えば私は北欧のレトロ生地が好きなので、部屋中にそういった生地や柄が散りばめられていると幸せになります。私は編み物や縫い物もしますが、必要な時に欲している材料や道具がないと嫌なので、いつか使うかもしれないであろうモノ達も、クローゼットの中にわんさか眠っています。その状態をみると落ち着きますし、何か作ろうという意欲もわきます。

ミニマリズムとマキシマリズム。

どちらも魅力的ですし、自分の中にも混在していると感じます。

ただ気をつけなければならないのが、人それぞれ大事なものや価値観が違うということ。今私は一人で生活している訳ではないので、Husseから君の自由にしていいよと言われたとしても、何かする時には必ず彼の了承を得て納得してもらってから行動に移しています。私が部屋に飾っている生地やインテリアはHusseの好みとは異なりますが、有り難い事に彼は特にこだわりがありません。Matteの好きなようにどうぞと言ってくれるため、私はある程度自由に自分の好みで部屋を整えています。なので、Husseが例えば”この絵を飾りたい”などと言ってきた場合は、なるべく尊重したいと思っています。

でもこれはいやだ!!!

先日、Husseが私の顔色をうかがいながら話しかけてきました。会社であるものを見つけたんだけど、それを持って帰って来てもいいか、と。そのブツとはなんぞ?と聞いてみると、超小声でこう答えました。

...サンドバッグ。

 

は?

...サンドバッグです。

 

Husseは20代の頃3年程ボクシングをしていたそうです。その頃は大好きだったチョコも一切口にせず、腹筋は6つに割れ、髪の毛もふさふさだったし女の子達も僕に熱視線で...とはHusse談ですしどうでもいいですが、ともかくまたサンドバッグをパンチしてトレーニングしたいの!ということらしいです。

確かに以前からいつかサンドバッグが欲しいとは言っていましたが、賃貸ですしぶら下げるのは無理なので、いつもうやむやになっていました。ところが、会社にサンドバッグが落ちてたから家にもって帰りたい。いや、もう持ってきた。お願いします。と奴さんはたたみかけてきました。

っていうか落ちてたって何よ?そしてもう持ってきたってどういうことよ??

要は誰かが会社で使っていたけど不要になったため捨てられていたそうですが、私はイライラしながらももう拒否できない事を悟り、相談もなく持ち帰ってきたHusseに説教をしつつ、どこに置こうか頭を巡らせました。Husseが持ち帰ったサンドバッグは起き上がりこぼしのタイプ。なので天井にぶら下げる必要はありませんが、ある程度のスペースが必要でした。

床が傷付かないようにトレーニングマットを買い、サンドバッグを消毒シートで入念に拭き、結局リビングの中央に配置しました。

.......。

 

全長175cm、土台部分はおよそ95kg。その土台部分はゴムのような素材でコーティングされており、タイヤのような匂いを発していました。なので急遽カバーを作成して被せました。

ファイターによる、ファイターのための、ブツ。

 

すごくいや。無骨な物体が安らぎのリビングにあるなんて。しかもすごい存在感...。当然私は怒り、そのやるせない感情をサンドバッグにぶつけました。

コノヤロ!クッソ!メッタメタだぞ!とかブツブツいいながら殴る蹴るの暴行をくわえていたら、その調子だよ!いいじゃん!と横からHusseがセコンドを気取ってきやがりました。そして更にイライラして私のパンチは威力を増し....。

ストレスをストレスで発散するという、ねじれが生じています。到底まだ受け入れられませんが、人と住むってこういう事なのかな...つれーな、と思いつつ、まぁHusseにとったらサンドバッグは私のレトロ生地と同じなのかも、と思いつつ、でも邪魔だぜ...と私の頭はぐるぐるしています。

 

ティトはHusseが繰り出すパンチに驚き、彼がトレーニングをしている間はテーブルの下の安全地帯に逃げ込みます。大丈夫だよ、一緒に慣れていこうね、と声をかけて側にいるようにしています。

イライラ。ぼくもパンチしたい。

 

パンチと共にサンドバッグの土台はゆらゆらします。マットを敷いていてもなかなかの震動です。もしかしたら階下の住人はうるさいのではと思い、相談に行きました。すると、気にしないでトレーニングしなよ!とおっしゃって下さいました。

 

....。

最後の砦も突破です。これで心置きなくトレーニングが出来ます。嬉しいね!良かったね!(泣)