カワイーヌ・ティトの北欧生活

北欧で暮らすハバニーズ、ティトと飼い主Matte&Husseの日常

ベビーネスト作りと、乳児院の思い出

先日、友人が元気でかわいい女の子を出産しました。

お母さんになった友人は、出産前にベビーネストを作ろうとしていましたが、難しいとの事でヘルプ!と連絡を貰いました。ならば出産祝いに、と私が変わりに作る事に。生地や材料だけ選んでもらって、いざ縫わん。

 

実は予定日が1ヵ月弱早まって、慌てて作りました。動物が描かれた可愛い生地と、落ち着くグレーのもくもく柄。

 

ぎゅーっと紐を引っ張ると、廻りが起き上がって壁になります。表裏はないので反対側に折り返し、黄色面を内側にする事も可能です。綿がもこもこなので、寝返りを打っても大丈夫。ストッパー部分にはカバーを被せて出来上がり。

 

早速届けに行くととても喜んでくれました。その後使用している写真を送ってくれましたが、赤ちゃんがとっても可愛くて、私も幸せな気分に。

赤ちゃんという存在は見ているとなんだかウルウルしてきます。無事に産まれて来られてよかったね、よく頑張ったね、と。歳とともに増すそんな気持ち。あと20年後とか私どうなっちゃうんだろう...ってちょっとコワイです。赤ちゃんを見る度に号泣でしょうか。生きていると本当に色々出来事があり、平坦な人生などどこにもありませんが、どうか健康で、楽しいと思える事を見つけられて、笑顔の多い人生を歩んで欲しいと願います。それが如何に難しいことなのか、わかるからこそそうであって欲しいと願ってしまいます。

 

赤ちゃんを見ると、私は思い出す事がいくつかあります。

 

私は高校を卒業後、短大の保育科で幼児教育について学びました。その後幼稚園の先生として数年間働いたのですが、学生時代の夏休みはとても忙しかったのを覚えています。

保育園、幼稚園、施設への実習で遊ぶどころではなく、レポートや指導案作成に明け暮れていました。なつかしい。

施設実習というのは児童養護施設、障がい児支援施設、乳児院など、いくつか選択肢がありました。確か自分である程度は選択出来たと思うのですが、私は乳児院で2週間実習させて頂きました。

乳児院はざっくり言うと0歳〜2歳までの乳児が、保護者と離れて生活する施設です。事情は本当に様々です。 

一人の女の子がいました。

その子はもうすぐ2歳になろうとしていましたが、足や骨に障害があり、言葉の発達も少し遅れていました。両親は見た目にもわかる彼女の足の問題に愛想を尽かし、育児放棄。恐らくこのまま施設で暮らすか、里親を探すことになるだろうと先生方はおっしゃっていました。彼女はなぜだか私に懐いてくれて、朝訪れると一生懸命這って私のところに来てくれました。私は彼女を抱き上げ、テラスに出て外の空気を吸ってみたり、野良猫を一緒に観察したりしました。彼女の柔らかい手足の感触も覚えています。色々思い通りに出来ない事で頻繁に癇癪を起こしていましたが、同じくらい良く笑う可愛い子でした。

たったの2週間でしたが、今でもたまに彼女は今頃どんな風に過ごしているかしら...と考える事があります。幸せだと感じながら暮らせているかしら...。

実習中、生後5日の赤ちゃんがやってきました。流石に実習生ではなく、ベテランの先生方でお世話をしていましたが、生後5日って...先週この子はこの世界にはいなかったんだよな...と思うととても不思議な気持ちになりました。まさか親と離れて暮らすことになるとは思ってもみなかったことでしょう。保護者を責める訳ではありませんが、子どもの立場になってみると、なんともやりきれない気持ちになりました。

 

私も足に障害を持って産まれました。生後間もなく手術をし、成人するまで治療を続け、ありがたい事に今では日常生活にほぼ支障はありません。母子ともに健康で産まれて、何も問題がなく両親や家族と過ごせる事は当たり前ではありません。大抵の人はわかっていることですが、誰もがそう思えたら、世の中にはもっと優しさが広まるのにな、と思います。

 

友人の赤ちゃんは、素晴らしい両親のもとに産まれてきました。しかし、スタート地点から人生が厳しい人もいます。それに負けずに頑張って生きろというのは酷です。

私は基本的に一人が好きですが、大切な友人も数人います。彼女達には本当に日々助けられています。一緒に生活しているHusseはもちろんですが、くだらない話や愚痴、相談事などを出来る相手がいるという事は本当にありがたく、支えられています。逆に、友人やHusseに助けが必要な時は出来る限り寄り添いたいと思っています。

誰でも好きになる必要はありませんし、誰からも好かれる必要はありません。しかし、安心出来る場所や、心を許せる存在がいるということは、何にも代え難いものです。お金でも買えません。

ここにいると落ち着く、この人といると癒される。あの乳児院にいた子ども達を含め、世の中の子ども達にとって、そういったものが見つかるよう願います。