それでも自分勝手な人はいる
スウェーデンの犬ニュースを私はよくチェックしています。犬にまつわる色々な記事が載っているのですが、今月はクリスマスということで、こんな記事をみつけました。
犬が欲しいクリスマスプレゼント
一緒に暮らせる動物の種類は様々です。犬猫魚に昆虫や爬虫類など、数え上げたらきりがありません。統計によると、飼い主の88%が彼らの為にプレゼントを買うそうです。
ある動物用品店で、犬と暮らす人を対象にこんな統計がとられました。
犬が欲しいクリスマスプレゼントは何?というもの。要するに、人間があげたいものと、犬が欲しいものには違いがある、という事です。
犬が欲しいものTOP5は次の通り。
- おやつ(75%)
- おもちゃ(74%)
- ベッドや毛布など(26%)
- ごはん(22%)
- ハーネスや首輪(21%)
続いて、人間があげたいものTOP5。
- おもちゃ(81%)
- おやつ(79%)
- ベッドや毛布など(22%)
- ハーネスや首輪(18%)
- 洋服(14%)
どちらもTOP2がずば抜けており、正直に言うと”でしょうね”という感想です。私達ももれなくおやつとおもちゃはあげるでしょう。そして洋服も考えています。でも靴も買ってあげたいし新しいライトも必要だし...結局まだまだ悩み中。あ、犬の統計をどうやって取ったかですが、家族による予想らしいです。
これより以下、ちょっとずつ内容がヘビーになっていきます。気持ちが感化されやすい方はご注意下さい。息抜きに子犬時代のティトをどうぞ…
パーティーは注意が必要
プレゼントは綺麗にラッピングされ、リボンで飾られます。よく映画のシーンにあるように、スウェーデンもモミの木の下にそんなプレゼント達が山積みで置かれます。時間になってそれぞれの元にプレゼントが行き渡ると、包装紙はビリビリに破かれ、家の中はカオスになります。子どもがいるおうちは特に。当日の過ごし方はまた後日書くとして、その状況で犬達はどうなるでしょうか。
人間はプレゼントに夢中です。
床には紙やプラスチックの残骸、人間がつまんだ食べ物のくずなどが散らばります。
犬は興味津々で遊び、紐やチョコレートなど危険なものを誤飲する場合があります。
動物病院の統計によると、クリスマスイブに救急で運ばれてくる犬は、普段に比べて20%も多いそうです。これはひどい...。今年はパーティーをしない家庭がほとんどだと思うので、辛い思いをする動物達も減るはず。クリスマスに限らず、こういう場では自分も気をつけようと改めて肝に銘じました。
犬が欲しい人々
誕生日やクリスマスに、サプライズで犬をプレゼントする動画を見た事があります。たぶん本人はずっと欲しくて、それを周りの人が汲み取ってプレゼントしているのでしょうが、私はちょっと抵抗を覚えます。そもそもブリーダーときちんとコンタクトを取り、準備をした上で迎えるべき存在だと思っています。
以前、スウェーデンは動物愛護法が確立されているという記事を書きました。
日本ではコロナ禍で犬を飼う人が増えたようですが、スウェーデンでも今年はダントツで多かったようです。そしてどうしても手に入れたい人々は、どんな方法だろうと手に入れようとします。ケンネルクラブに登録していない人達から、売買サイトから、外国から、などなど。自分勝手な人は国に関係なくいるものです。
先日、こんな事件がありました。
EU圏内の複数の国からやってきた2台のトラックが、南部の国境警察に止められました。中を開けてみると、そこには59匹の野良犬がすし詰め状態でいたそうです。運転手は、この”輸入品”には今さっき水をあげたとほざいたそうですが、結局犬達は丸2日間外に出られないばかりか、水も食料も与えられず、糞尿だらけの場所に閉じ込められていたそうです。発見した警察は、今まで動物を扱った中で一番辛く悲惨な仕事だったと言っており、私もこの事件を読んだ時には、涙が出ました。やるせない。
その警察は最後にこんなことを問いかけていました。
大切な事はなんですか?
想像しましょう。
犬を迎える為に大切な事はなんですか?
その犬の起源、つまり両親や祖父母は?
ワクチン接種は?
それは肉体的にも精神的にも健康な犬ですか?
なぜそんなに安い価格なのですか?
スウェーデンでは外国の犬を保護して連れてくる事がよくあります。もちろんきちんとした手続きをした上で安全に。しかし、この犬達はそうではありません。すぐに犬が欲しい、安く買いたい、面倒な手続きは嫌だ、という自分勝手な人々のせいで連れて来られた犬です。もしかしたら新しい家庭で今までよりも幸せに暮らせるかもしれません。今後常識のある人々によって受け入れ先が決まる事を願っていますが、こんな風にして連れて来られるべきではありません。病気があったらなおさらです。
それでも足りない
最近、売買サイトで2匹の仔犬を買った人がいました。健康だという証明書があったそうですが、家に迎えてすぐに犬達は嘔吐や下痢が止らず、数日後に病院へ連れて行かれました。原因は特定されませんでしたが、治療不可能なウイルス感染の可能性があり、翌日安楽死※されました。当然保険は適用されないので、犬の購入者は犬の代金と医療費合わせて71,000kr(日本円でおよそ90万円)支払う事になりました。
※スウェーデンでは、治療不可能で苦痛を伴う場合は安楽死をさせます。痛みとともに生きるのは犬にとって虐待だという考えですが、個人的には良いも悪いも場合によると思っています。難しい問題...。
これも安易に犬を迎えようとした結果です。販売者が悪いのは当たり前ですが、そういうサイトで犬を買おうとする購入者も問題です。お金で済む話ではありません。
残念ながらこんなニュースは世界中に溢れています。そして悲しいことに、それらのニュースは虐待をする人の心にはちっとも響かず、私達の願いは届きません。
仔犬が欲しいから、と安易に手に入れようとする人達も同じです。彼らは犬を迎えたらきっと可愛がるでしょう。でもそれは自分の為です。きちんと可愛がるからいいでしょ、と考えていることでしょう。犬達のそれまでの暮らしや、そこに辿り着くまでの道のりはなかった事にして。
冒頭のように、プレゼントどうする?って平和なニュースや情報ばかりならいいのに。
今日はちょっと悲しい記事になってしまいました。人間の都合でつらい思いをする犬達がいなくなりますように。心ない人達が世界から消え失せますように...。