カワイーヌ・ティトの北欧生活

北欧で暮らすハバニーズ、ティトと飼い主Matte&Husseの日常

諦めていたらヘイヘイホー

スウェーデンでアパートに引っ越しをするのはとても大変です。特に自治体が管理するアパートに引っ越そうと思ったら、私の街ではだいたい7年以上待たなければ難しいです。空きが出たら内見を申し込みますが、内見希望者がわんさかいらっしゃるので、その列に並ぶだけでも大変。いざ内見できても、自分より前に並んでいた人が決めてしまったら、もうおしまい。Husseは今私達が住んでいる場所に引っ越すまで9年間、列に並び続けました。

そんなわけで、スウェーデンでは引っ越しが決まったよと誰かが言えば、おめでとう!と声をかけます。

私はもともとHusseが住んでいた単身用の部屋に引っ越してきました。引っ越しがそんなに難しい事とは知らず、今の家に引っ越すまでは色々と苦労しました。お互い一人の時間が必要な性格なので、近過ぎる距離感にストレスを感じたり、くつろげる空間と時間を見つけるために躍起になったり。なので、今のアパートに引っ越しが決まった時、私達はとても喜びました。

引っ越し2日前

そんな訳で入居日が待ち遠しく、色々想像したりわくわくして日々を過ごしていました。そして引っ越しの2日前、私は友人と街でランチの約束をしていました。

初夏だったので自転車で街に向かっていたのですが、その途中で豪快に転び、私は手首を骨折しました。骨折未経験だった私は、もの凄く痛いけどまさか骨が折れているとは思わず、自転車を押してそのまま街に向かい、友人とランチを楽しみました。この食い意地には自分でもドン引きです。

帰宅後、Husseが私の腕をみて心配しました。どんどん腫れてくるし痛いし。私もちょっとヤバイ気がしてきて病院に行きました。病院ではたらい回しにされたり違う病院に移ったり存在を忘れられたり、色々あったのですがそれは今はおいといて、診察して下さった先生はおっしゃいました。変な風に折れているから手術しないとダメだね、と。でもいつ手術できるかわからないから、また連絡するね、と...。

応急処置をしてもらい、帰宅。痛みはどんどんひどくなり、少し動くだけで骨に響きました。

待ちに待った引っ越し当日。私は自分で色々やりたかったのですが、ただの役立たずに成り下がってしまいました。歯がゆさや悔しさ、情けなさと痛みでこっそり、いや堂々と泣いたのを覚えています。嬉しかった日のはずなのに。

手術の日

骨折から10日後、病院から電話がかかってきました。明日早朝に手術するから来てねって。すごい急じゃん、と思いましたが、そんなものなのでしょう。言われた通りに食事管理をし、翌朝全身麻酔で手術をしてもらいました。

目覚めたのはお昼過ぎだったと思いますが、またすぐに意識が飛びました。2度目に目覚めた時、ぼーっとしていたら看護師さんがやってきて、コーヒーをくれました。そして、お腹すいたでしょ、と言ってトナカイのロールサンドを持ってきてくれました。あぁスウェーデン...。

しばらくしてレントゲンを撮り、そのままさようなら。当然まだ意識ははっきり戻っておらず、フラフラで一人で歩く事は出来ませんでしたが、そんなものなのでしょう。Husseに支えられて新居に帰宅しました。何故すぐに寝なかったのか、今では覚えていませんが、帰宅後に私はキッチンでしばらくぼーっとしていました。

木が...

風がとても強い日でした。何も考えずに窓の外をみていたら、裏庭の木が根元からごっそり、ゆっくりと倒れていきました。

あれ...?木が倒れた...よね?

幸いアパート側には倒れなかったので大事には至りませんでしたが、もし風向きが違ったら大変な事です。頭が回転しない私はしばらく状況を把握できず。

それから4年。

私の手首には縦にがっつり傷があり、13針の縫い目が残っています。何も知らない人はきっと私の過去やメンタルを心配するでしょう。チャリで石につまずいてただ転んだだけ、とは誰も思うまい。

そして裏庭にはその日倒れた木がそのままに。きっと住民の誰かが管理会社に連絡しているはずですが、当時のままの状態で今に至っています。

デジャヴュだよ

先日、今日は風が強いなーと思った日がありました。雨も降っており、朝はティトと散歩に行きましたが、何か飛んできてティトに当たったら大変だと思い、昼の散歩は中止にしました。

翌日。

倒れている

 

根っこから木が倒れていました。あの日と同じだ!こわいよ!色々思い出す!全身麻酔にトナカイロール!あわわわわw

この裏庭ではティトとよく追いかけっこをします。

僕の遊び場だよっ!

 

ティトの背後に倒木が。この脇にはかろうじてまだ立っていますが、斜めになっている木もありました。すぐに倒れる事は無さそうですが、また強風が吹いたらわかりません。あぶない...。

でもまたこのままなんでしょ。そんなものなんでしょ。諦めた素振りを見せつつ、ボソボソ愚痴を言っていた私。ところがその一週間後。

与作達現る

自治体から派遣されてきた与作達が、4年前と先週の倒木を切りにきてくれました。

左が4年前、右が先週の倒木

 

ヘイヘイホー。

数人の与作達は倒れそうな木も切ってくれました。お陰様でこれで安心して遊べます。

自治体管理のアパートは、設備の故障やこういった問題があると、やってきて解決してくれるのでとても有り難く、私達は楽が出来ます。ただ、いつ来てくれるんだ?とヤキモキしたり、冒頭のように引っ越しに時間がかかったりします。

一軒家には憧れます。ティトにとっては自由にいつでも遊べるお庭は嬉しいでしょう。私は好きな植物を育てられるし、Husseは気兼ねなく思いきり体を動かす事が出来ます。しかし、全て自分達で修繕していくのは大変です。それが好きだから一軒家、というスウェーデン人は大勢いますが、私達には向かない暮らしです。憧れは憧れのまま、たまに想像して楽しむことで満足しています。

何はともあれ、誰も怪我をする前に解決して良かったです。

期待以上の事をしてもらった時。謝らない人が多いスウェーデン人の中で、素直にごめんなさいねと言ってくれる人に会った時。とても嬉しくなります。そんなものなのでしょう、と言っておきながら、私は毎度一人でぶつぶつ物申しています。諦めたり、期待の基準値を下げるのは、穏やかに暮らす為には良いのかもしれません。

しかし、悲しいかな私の性格上たぶん無理です。我慢はいけません。何事も良い面と悪い面、メリットとデメリットがあります。私は私らしく、彼らは彼ららしく、これからも共存していきましょう。って誰に向けて書いているかわからなくなってきました。

とりあえずこういうことです。もう期待なんてしないなんて言わないよ絶対。