週末は夏至祭でした。
クリスマスイブのように、夏至祭前日(金曜日)が盛り上がるスウェーデン。本来ならば至る所に大勢が集まり、踊ったり歌ったり色々なイベントが行われるのですが、今年は例の影響で自粛。Husse家族の集まりがありましたが、それもあまり気が乗らず欠席し、我々は家でぐうたら過ごしました。
夏至祭はスウェーデンでは非常に大事な日です。この日から夏休みをとる人が大勢おり、初日の金曜日は、夜中でもどこかからパーティーをしている人達の声がします。
余談ですが、ミッドサマーというスウェーデンの夏至祭が舞台の映画が昨年公開されました。ご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。ネタバレになるので詳細は書きませんが、明るい題材と素敵なロケーションとは真逆の、人間の黒い部分がドロドロ溢れ出しちゃうなんとも言えない映画でした。もちろん実際そんなお祭りではありませんし、大声でオススメしたい映画ではありませんが、人間ってそういうところあるよねっていう、少し他人事ではない部分もあり。風景など楽しみたい方、グロテスクも平気な方は是非ご覧下さい。
家族は会いたい
Husse家族は集まると割と大勢なので疲れます。家族といえど、Husseと相性が悪い人もいます。コロナだからというのもありますが、そんなわけで我々はぐうたらしていたのですが、Husse両親は当然息子に会いたいわけです。するとHusse母、日曜日に珍しい料理を作るから、一緒に食べましょう!と連絡をしてきました。実際は近いのでしょっちゅう会っているのですが。日本のお正月と同じく、夏至祭、クリスマス、復活祭は家族で集まるもの、らしいです。
珍しい料理って?
お誘いの電話でお母さんからメニューを聞いたHusse。通話を終えたとたん私の元へ走ってきました。
Matte!日曜日にお母さんがリーパを御馳走してくれるって!と叫びながら。
リーパとは雷鳥のことです。日本では特別天然記念物で絶対に捕獲してはならず、ましてや食べるなんてもってのほかです。食べていいのは雷鳥の里。
彼らも滅多に食べません。Husseとそのお父さんは狩猟ライセンスを持っています。私が移住して6年、一回もハンティングに出掛けたところを見ていませんが、昔は行っていたらしく。その時には雷鳥を撃ち落として自宅で処理&冷凍保存し、大切に食べていたそうです。現在も狩猟で生計を立てている人々はおり、今回はそういった業者が売りに来たものを買ったとの事。もちろん闇ではなく、パッキングもきちんとされています。
いつか食べようねと言うだけで終わっていました。こういうところもぐうたらな私達。それを知ってか知らずか、いや知ってて振る舞ってくれました。
雷鳥オーブン焼き
当日。まずは前菜が待ち受けていました。
本来、夏至祭の食事では次のものを食べます。
新じゃが / ニシン / イチゴ
イチゴはデザートでショートケーキとして食べられることが多いです。Husse母はとても料理が上手で、私はいつも一人でおかわりをしてたらふく食べます。今回もこのニシンと和え物が美味しくて、Husseの倍食べました。
そしてアレの登場です。
サラダとポテトパイと、雷鳥!口に入れて噛んだ瞬間、あれ?レバー食べてる?と思いました。すごく繊維質で身がぎっしり詰まった感じの胸肉でしたが、味は本当にレバーでした。食べる前、雷鳥は羊よりもトナカイよりも野生の味がする、と言われていました。そうか、レバーってワイルドな味なのか、という違う発見がありました。こんなワイルドな味、初めてだ!と驚いてみんなを喜ばせる事は出来ませんでしたが、有り難く貴重な体験が出来ました。
私の祖母は長野県に住んでいます。県鳥は雷鳥です。祖母に雷鳥を食べたと言ったら、きっと驚くでしょう。
一方、馬刺食べるよとスウェーデンで言うと、沈黙が訪れます。
国や民族によってはぷりぷりの芋虫を炒めて食べたり、最近では昆虫食も注目されているようです。それらを食べる動画を見ると、うわー無理、と思いますが、食は文化です。無理なら食べなければいいだけで、否定するものではないと思います。もちろん乱獲はいけませんが。彼らが日本で納豆やタコを食べてくれたら、私は嬉しい気持ちになります。好き嫌いは別として、一度でも食べようとしてくれた事に、文化のリスペクトを感じます。なので私もそうでありたいな、と。そうであり過ぎて...なんでも食べ過ぎて逆に引かれているのは内緒です。
話が逸れましたが、最後にデザート。
ルバーブをオートミールやキャラメルで絡めたパイでした。私はキャラメルがあまり好きではありませんが、ルバーブの酸味とキャラメルの甘さがよく合っていて美味しかったです。これまたおかわりをして大満足の食事でした。
その頃ティトは
食事の時間はいつもティトがお昼寝する時間でしたが、食卓の下でふてくされたように寝転んでいました。眠いのと誰も相手をしてくれないのと、雷鳥が食べたいのに食べれずいじけているのと、色んな気持ちでいたみたいです。
雷鳥、食べてみる?と聞いた瞬間、目を輝かせて見上げてきました。