カワイーヌ・ティトの北欧生活

北欧で暮らすハバニーズ、ティトと飼い主Matte&Husseの日常

帰れないってこういう事。

スウェーデンとフィンランドに囲まれているボスニア湾。スウェーデン本土の近辺にはいくつもの島が群がっています。ストックホルム近辺は特に、王室の宮殿がある島もあれば、別荘地・観光地として栄えている島など、それらは様々です。

北にも小さな島が点々としています。先日、そのうちの一つに船で行ってきました。

出発は夕方

今週末の夏至祭から8月中旬まではハイシーズンなので、毎日朝から運行しています。私達が行ったのはその前だったので、平日の運行は金曜の夜のみでした。出発は17:15。犬も船に乗れますが、夜はいつものんびり過ごすティト。その時間から遊ぶのはしんどいだろうなと思い、今回はHusse両親宅でお留守番してもらう事にしました。

 船は6つの島に立ち寄ります。最初の停留地の島を除いた5つの島には、帰りの便がありません。島にあるコテージや自前のテントで、次の船が来る日曜まで滞在しなければなりません。私達はもちろん日帰りなので、最初の停留地で降りました。出発から到着まで40分。その間に船内にあるカフェで軽食をとり、島遊びに備えました。Husseはホットドッグ、私はシナモンロール。

 

思ったよりレトロな船でした

まずは、すごくはしゃぐ

そそくさと軽食を済ませ、外に出て強風を楽しんでいると、あっという間に目的地の島に到着しました。コロナの影響で50人以下しか乗船できませんでしたが、船の中は案外沢山の客で賑わっていました。しかしその島で降りたのは私達だけでした。

スウェーデンには個人で船を所有している人も沢山います。その島の港にはそんなプライベート船がいくつか停泊していました。コテージもあるので、散歩中に4家族くらいはすれ違いましたが、それぞれいる場所は異なりその後出会う事もなく。レストランは外にあるトイレだけを開放し、中は休業中。まるで島が貸し切りのようで、私達は到着するなりわーわーはしゃぎました。

 

 崖っぷちに立ち並ぶコテージ。隣同士の間隔がちょっと近過ぎる感じがしましたが、目覚めた瞬間に見える景色は最高だろうな、と想像が膨らみます。普段はHusseが割とぺらぺら喋って、私はぼーっと聞いている事が多いのですが、はしゃいだせいでなんだか会話が弾みました。

一周出来る程に島は小さくないので、いい頃合いでUターンして浜に戻りました。

この日は暑かったので、私も裸足になって水に入り、砂のずぶずぶと水のひんやりを楽しみました。久々にティト抜きでの外出なので、なんだか少し変な感じでした。

足、どこまで埋まるかな!と お互いの足を埋めてみたり。

丸石を見つけてその上に立ち、ツボに効くよね!と盛り上がってみたり。

 

陸地で足を乾かした後、今度は水辺とは反対側の丘を探索する事にしました。

道の両側には森が広がっており、その地面にはミヤマハナゴケという植物が広がっていました。これはスウェーデン語で”窓の苔”と呼ばれています。室内の窓枠にこれを置いておくと、湿気を吸収してくれるので曇ったりしないらしいです。現代の家は4重窓で喚起もされている為、冬に窓が曇る事はありませんが、昔の作りの家では暮らしの知恵として重宝していたのでしょう。

もう一つ、これはトナカイの冬の食料源にもなっており、”トナカイ苔”とも呼ばれています。苔は生長が遅く、むやみに採取するのは生態系に悪影響を及ぼします。クリスマスシーズンになるとデコレーション用に売られているのをよく見ますが、明確な規制はなくとも、本当に必要な人と動物のために使われたらいいなと思います。

滞在時間、4時間

そんな風に探検したり遊んだり喋ったりして、あっという間に2時間経ちました。帰りの船が来るのは22時。島での滞在時間は4時間で、残りあと2時間です。

砂浜に戻り、ちょっとゆっくりしましょうかと浜辺にタオルを敷いて、腰を下ろしました。この時期、もう太陽は沈みません。しかしだんだんと太陽が威力を失い、空気が冷えてきました。

あと2時間。

こんな事もあろうかと持って来ていた上着を着て、またしばらく海を見ていると、にっくき蚊がやってきました。

あと1時間30分。

蚊除けスプレーをがんがん振りかけても、その数の多さには叶わず、私は留まっていることが出来なくなりました。動いていないと餌食になる!

あと1時間20分。

とりあえず歩こう、と着いてすぐに巡った散歩道をもう一度進む事に。その間も雑誌などでずっと身の回りを扇ぎ続け、奴らが近寄らないよう必死。隣りのHusseを刺すがいい!と実際声に出して蚊に伝えました。

あと30分。

帰れないってこういう事です。山手線っていいよね。終電後のタクシーって素晴らしいよね。と何度思った事でしょう。はしゃいでいた前半2時間がウソのように、最後私はHusseの話もろくに耳に入らず、ずっと戦っていました。

そしてお迎え

こ、ここです!たすけてください!

最後はもう浜辺にSOSと書こうかと思ったくらい、追い詰められました。本当に蚊さえいなければ、北スウェーデンの夏は最高なのですが。

 

4時間の滞在を終え、22時半過ぎ無事に街に戻ってきました。いつもはもう寝る時間だったHusse両親とティト。お礼を言ってティトを連れ、虫がいない我が家に帰宅しました。

ティトは島に行ったらきっと喜ぶでしょう。毎度最後は蚊の話題で本当に申し訳なく思いますが、まだ続く夏を楽しむ為には、もう養蜂スタイルしかないか...と冗談半分、本気半分で考えている今日この頃です。