スウェーデンでのアパート生活、ご近所問題
私達の住まい
私とHusseは自治体が管理するアパートに住んでいます。街の中にはそういった自治体管理のアパートが地区毎にずんずん建っています。私達の住む場所は、その中でも割とマイナーで小規模な地区です。レンガ作りの2階建てが7棟。裏には芝生と林が広がり、少し歩くと森が点々としています。散歩コースがいくつもあるので、ティトは毎度とても喜んで散歩している感じがします。

1棟の中は6世帯ごとに一区切りされており、私達の部屋は2階にあります。今日は私達と同じ区切りに住むご近所のお話です。
6世帯の紹介
まずは私達の住む2階。
- 我々
- 40代独身男性
- シングルマザーと中学生の息子&大学生の娘
1階。順番は2階の真下ということでリンクしています。
- ご隠居カップル
- 単身20代超人見知り青年
- おばあさんと中年の息子
普通です。そしてたったの6世帯です。なのにここには沢山のヒストリーがあります。私達が引っ越して来て4年、その間にわざわざ言いたくなるような出来事がいくつも起きました。
色々とお伝えしたい事はありますが、今日は1階、私達の斜め下に住むおばあさんと中年息子について書きたいと思います。
困った息子
おばあさんは年金生活をしており、もうここには48年住んでいるそうです。会えば笑顔で挨拶し、ティトの事も優しく撫でてくれます。私にも優しくしてくれますが、他のご近所さん曰くちょっと問題有り。私もうすうす感づいていますが、彼女とは特に当たり障りなく接しています。
問題は息子。もうすぐ50歳になる彼は、実際ここに住所はありませんがおばあさんと暮らしています。過去に薬物や暴力事件で警察のお世話になっており、今はアルコールや精神的な問題を抱えている、まぁなんか大変な事になっている方であります。彼は毎日自転車か徒歩で街をうろつき、空き缶などを集めてお金にしてお酒を買って飲んでいます。小さい街なのでそんな彼の姿を今までに何度も見ました。
でも問題はそれではなく。
彼は出掛ける前、アパートの共用階段にジャケットなど身の回りのものを置き、そこでコーヒーを飲みます。そして暴言を吐き、壁をもの凄い勢いで殴ったり蹴ったりします。おばあさんは家の中で身を潜めており、特に何も言いません。ティトと散歩に行こうした時に彼が暴れると出られませんし、散歩から帰って来た時に彼がいるとオーマイガって思います。
ただ不思議な事に、私達が通るときには態度が急変して、機嫌良く話しかけてきます。我々に暴言を吐いた事は一度もありません。人の姿が見えると急に我に返るようです。意思とは関係なく暴言を吐いてしまうトゥレット症候群なのかな、と思って調べた事がありますが、そういうわけでもないようで...。
以前はたまにでしたがここ一年近くで徐々に頻度があがり、先月にはもう毎日40分位暴言&暴れる状態になってしまいました。怖いながらも特に危害は加えられないし、まぁ仕方がないかと思っていた私も、さすがに恐怖心がつのり安心して過ごせなくなりました。
お隣さんに相談
シングルマザーのお隣さんがここに11年住んでいるため、私達よりも歴史をしっています。今までも誰か通報した事があるのか、何か対策をとってきたのかなど、聞いてみる事にしました。
家ではない場所で彼が捕まった事はあったし、他の隣人とトラブルになった事もあるが、これといった対策はとられていないとの事。しかしここ最近の彼の行動はヤバいし私も怖い、と言う彼女。というわけで、次に何かあったら警察に通報しよう、と話がまとまりました。
急に静かになったと思ったら。
お隣さんに相談した数日後から、ぱったり静かになりました。もしやお隣さん、早速通報した? 何はともあれ静かになって良かったと思っていたら、更に朗報が。
母親であるおばあさんとHusseが家の前で出くわした時、少しお喋りをしたそうです。そこで、もうすぐ息子が引っ越すという情報を仕入れてきました。
やった!ついに恐怖から開放!
引っ越しはいつかなー。もしアレなら手伝うよー。
ってそんな気はありませんが、私は浮かれました。
そんな矢先。
姉さん、事件です
一昨日の20時半、Husseと自宅で珍しく筋トレをしていました。一緒にプランクをしながら体をぷるぷる震わせている時、どこかから怒声と女性の叫び声が...。
プランクの状態で、今聞こえた?空耳じゃないよね?と確認し合っていると更に激しい声が聞こえて、慌てて2人して飛び起き玄関に向かいました。
でも待てよ、状況が見えないのに踏み込んだら危険だよね?と私は冷静になり、例のお宅に向かおうとするHusseを必死に止めました。これはもう警察。急いで電話をすると10分程度でパトカーが来ました。おばあさんに何もなければ良いけど...と願う私達。
以前おばあさんと階段で出くわした時、目の周りや頬が真っ青に腫れてボクサーみたいな顔になっていた時がありました。どうしたの!大丈夫?!とびっくりして声をかけましたが、昨晩家でつまずいて転んじゃったと言うおばあさん。それ何か隠してるよね?と思いながら、もし何か困った事があったらいつでも言ってね、と真剣に言って別れたことがありました。お隣さん曰く以前にもそういう事があり、おばあさんは骨折した事もあったけど、本人が被害を報告しない限り私達には何もできない、との事。確かに。警察は1時間後に彼らの家から出てきて、そのまま帰って行きました。
警察を呼んだ翌日、彼らの真上に住んでいるシングルマザーのお隣さんに話を聞くと、息子はおばあさんに向かって”お前なんか殺してやる!”と叫んでいたそうです。私達が通報した事は黙っていましたので、お隣さんはおばあさん本人が通報したと思っているようでした。その後おばあさんの事は見ていないので怪我の有無は分かりませんが、今日私は階段で息子に出くわしてしまいました。
もう全然わかんない
私とティトが散歩から帰って来たらタイミングよく(悪く)家から出てきた息子。ひきつる笑顔で挨拶をかわしてそそくさと階段をのぼりましたが、家の中にいるおばあさんとドアを開けている息子の会話が聞こえてきました。
息子:もう行くよ。
おばあさん:あぁそう、気をつけてね。
息子:何かいるものある?
おばあさん:んー、大丈夫。ありがと。
息子:はいよー。じゃあねー。
朗らかな口調でなんて平和な会話。っておい。
おいおいおい。
どんな親子だ?あの日はお酒いっぱい飲んじゃった?
ってそんなのどうでもいいから、もう早く引っ越してくれ、です。
おばあさんはきっと元気だねっていうお話でした。
引っ越す時、家の確認は出来てもご近所さんの様子は確認出来ません。理解するには住んでみて時間をかけなければいけません。引っ越しするのが難しく時間がかかるスウェーデンでは、ご近所さんが穏やかかどうかは一種の賭けです。
このまま何事もなく、誰も傷つかない日々が続く事を願います...。