カワイーヌ・ティトの北欧生活

北欧で暮らすハバニーズ、ティトと飼い主Matte&Husseの日常

犬を飼う前に。

犬を飼えるかも、と思うまで

私は子どもの頃から犬を飼うのが夢でした。一応私もHusseも小さい時に飼ったことはあるのですが、結局親がお世話していましたし、どちらもやむを得ない事情で短期間しか飼う事ができませんでした。私の犬は病気で、Husseの犬は家族の犬アレルギーで手放さざるを得なくなり…。

しかしまさか今、スウェーデンで本当に夢が叶うとは思いもしませんでしたが、それまでには考える事が沢山ありました。

そもそも犬を飼うってどういう事だ?というところからスタート。日本とスウェーデンでは環境も違えば犬との接し方も違い、私は何も知識がない真っ新な状態でした。この時点ではいつか飼えたらなーというただの興味本位で、スウェーデン語の勉強にもなるからと、犬にまつわる本などを読んだりしていました。

また別の機会に詳しく書こうと思いますが、スウェーデンでは動物愛護法が確立されています。ペットと主人という関係ではなく、対等な家族として犬との暮らしを捉えています。もちろん犬や周りの人にとって危険がないよう、対等とは言え厳しくしつけなければいけない犬種や状況もありますが、犬の権利は存分に尊重しよう、というのがスウェーデンでの考え方です。

散歩の質や回数、犬同士や人とのコミニュケーション、家での過ごし方、留守番の時間など、犬に優しいルールがいくつかあります。犬や猫を売る店はもちろんなく、ブリーダーから直接迎えます。お金も当然払いますが、”購入”ではなく、生後8週間まで面倒をみてもらった時にかかった諸々の必要経費、という感覚です。

そんな風にスウェーデン流犬との暮らし方を見ていたら、当然私はどんどん犬熱が上がっていきました。環境も整っているし時間もあるし、飼えるかも...と。

でも本当に大丈夫?

行動や時間も束縛されますし、お金もかかります。

私達大丈夫??

残念ながら彼はあまり犬好きではなく、道で見かけても触るどころかむしろ避けていた状態でした。私の希望だけで飼うのは良くないので、彼とも沢山話し合いをしました。彼だけではなく自分にも何度も問いかけて、よし!飼おう!と思うまでほぼ一年。そこからやっと現実的なリサーチにとりかかりました。

犬はどこに?

スウェーデンで犬を迎えるには、だいたい次のような方法があります。

  • SKK(スウェーデンケンネルクラブ)に登録しているブリーダーから
  • 一般の家庭で生まれた犬を引き取る(個人間のやりとり)
  • 保護犬
  • 売買サイト

私達はSKKからブリーダーを探しました。ミックス犬も多く、個人間で譲ったり迎えたりする事もよくあるようです。保護犬はスウェーデンだけではなく、アイルランドから多く迎えています。

最後の売買サイトでは、私も何度か売り出されている犬や猫を目にした事がありますが、やむを得ない事情があろうともあまり良い気持ちにはなりません。実際ブリーダーからはそんな風に売り出す事がないように、とクギをさされました。

飼育経験がない私達に保護犬を引き取る権利はなく(自信も)、SKKのサイトで犬種の勉強をしました。犬を迎える人達は、生後8週間たったらブリーダーの元に仔犬を迎えにいきます。自分達が北に住んでいて、犬が南に住んでいようとも。家族と別れて知らない人といきなり長旅なんて、ちょっとかわいそうだな...と思い、私達は犬種関係なく北スウェーデンのブリーダー達をまずはピックアップ。

大事な犬種選び

かわいいなーと私が思っていた犬は柴犬とビーグル。彼は中型の狩猟犬。柴犬のブリーダーは北にいましたが、繁殖計画がなかったので断念。ビーグルは狩猟犬で運動量もかなり必要なため、私達には難しいかも...という訳で早々に断念。

そもそも見た目の可愛さよりも、初心者でも飼いやすい犬を探しました。大きさに関係なく、狩猟犬はトレーニングや運動量、飼い主の力量もかなり必要との事で除外。ラブラドールなどやさしい犬でも、大きいと日頃のお世話も大変ですし、我々のアパートではちょっとかわいそうなので除外。残ったのは愛玩犬と呼ばれるグループの犬達でした。チワワやマルチーズ、トイプードルなどです。

なるべく家に近くて、初心者向きの愛玩犬をお世話しているブリーダー。それぞれの犬の性格も確認しつつ、どんどん絞っていきました。残ったいくつかの犬種についてHusseと話し合いを続ける日々。正直最初、ハバニーズには私もHusseも一切興味がありませんでしたが、参考に動画などを観て行くうちにどんどんその可愛さにやられていきました。最後に残ったのはハバニーズとミニチュアシュナウザー。悩みに悩んで、ハバニーズを選びました。

これから犬を飼おうと思っている方に

犬と暮らそうと思ってから実際に迎えるまではざっとこんな流れでした。

  1. 北スウェーデンのブリーダー探し
  2. 犬種選び
  3. ブリーダーに繁殖確認
  4. 家族に迎える

1〜4まででだいたい10ヵ月。その前の熟考時間を含むと1年半〜2年でした。

犬は生きており、人間と同じようにそれぞれ性格も違います。wikiで書いてあるのとは違う個体もいるでしょう。実際私もティトを見ていて思う事があります。そんなに警戒心は強くないと思っていましたし、毎日のブラッシングの大変さは本当に初心者向きの犬種か?と泣きそうになったことも多々ありました。

暮らしながら変わっていく事も当然あります。私達は始めに考えていた役割分担が早々に崩れました。ブラッシングは私がやるにしても、お風呂を入れたり歯を磨いたりするのはHusseにもやってもらうつもりでしたが、今では全て私がやっています。それは私の方がそういうお世話が向いている、というだけ。やってみないとわからないこともあります。

それでも飼う前に調べた事や、自分達の生活をじっくり考えた事は、とても大切で必須であり、今に繋がっていると感じています。最初の想いだけでビーグルを飼っていたら...。今頃毎日の散歩量でひーひー言っているかもしれません。一緒に暮らせばきっとどんな犬も可愛いですし、多かれ少なかれ悩みはでてきます。ただ、命を預かる以上後悔は許されませんし、後戻りは出来ません。これから十数年犬と共に暮らすという覚悟。人によって覚悟を決めるまでの時間や材料は違うでしょうし、時間をかけたから良いという訳ではありません。犬の事を考え始めてから迎えるまでの2年弱、私にとっては必要な時間でした。

一歩を踏み出すには不安もあるでしょう。調べたとは言え私達もわからない事だらけでした。でも今は大丈夫です。飼い主も犬と一緒に成長するものです。

犬と暮らし始めて2年半で思う事。

幸せの一言です。

時間の束縛やお世話など自由がきかない事は沢山ありますし、物音に反応して突然吠えるときは正直心臓が止まる位驚いてイラっとすることもありますが、寝顔を見たり一緒に遊んで楽しそうな姿を見ると全部吹き飛びます。もう2年半経っちゃった、というのが今のところの感想です。

私は自分がこんなに犬にデレデレになるとは思いもしませんでした。高い声を出したり、かわいいでしゅねーなんて絶対に言わないと思っていました。でも人って変わるものです。私以上に周りの友人達もだいぶ驚いています。

たまにふとティトがいなくなった世界のことを考えます。今から早いよ!って自分でも思いますが、その時に後悔しないよう、今のティトとの時間を大切にしようと日々感じています。

日本とスウェーデンでは違う事も多々ありますが、これから犬を迎えよう、一緒に暮らしてみたい、と思っている方にとって少しでも参考になれば嬉しいです。